母乳の豆知識

母乳はいつから出るの? 量が安定するのはいつ?

母乳は出産直後からたくさん出るわけではありません。
出産後に初めて分泌される母乳を「初乳」と呼びます。初乳は特に栄養価が高く、赤ちゃんが健やかに成長していくために欠かせない免疫成分をたくさん含んでいます。初乳が分泌される期間には個人差がありますが、おおよそ産後3〜5日頃までの時期に出ます。初乳は分泌量が少なく、黄味がかった色をしています。

母乳はその後、1週間ほどで分泌量が増えていきます。含まれる成分も徐々に変化し、エネルギーや脂質、乳糖などが豊富な「成乳」へと移行します。母乳の量が安定するまでには、 2週間~1ヵ月かかります。

母乳の分泌を良くするために知っておきたいこと

母乳の分泌量には個人差がありますが、左右それぞれの乳房で作られる量は、前回の授乳(または搾乳)時に、どれだけ排出されたかで変わってきます。母乳の分泌をよくするためには、できるだけ赤ちゃんにしっかり飲んでもらうことが重要です。

母乳の分泌を良くするコツ

①最初は回数を気にせず頻繁に授乳する
母乳を出すためのホルモンは、赤ちゃんに吸ってもらうことで分泌が活発になります。産後1ヵ月健診までは、思うように母乳が出なくても、赤ちゃんが欲しがるたびに吸わせてみましょう。

②乳房に母乳がたまったままにしない
乳房の中に母乳をためておくと、母乳に含まれる「乳汁産生抑制因子」というたんぱく質の働きで分泌量が減ってしまいます。どうしても授乳できないときや赤ちゃんが飲みきれなかったときは、そのままにせず搾乳して排出すると良いでしょう。自分でうまく搾乳できない場合は、搾乳機を使う方法もあります。

③血流を良くする
肩甲骨まわりをストレッチやカイロで温めたり、乳房をやわらかくマッサージするなど血行を良くすることが大切です。

母乳育児とミルク育児、みんなの選択は?

生まれたばかりの赤ちゃんが栄養をとる方法は、大きく3種類に分けられます。母乳だけを飲ませる「完全母乳育児」、母乳と粉ミルクや液体ミルクなどを併用する「混合育児」、粉ミルクや液体ミルクだけを飲ませる「完全ミルク育児」があります。

2015年に厚生労働省が発表した『乳幼児栄養調査』によると、妊娠中の女性の90%以上が「母乳で赤ちゃんを育てたい」、「母乳が出れば母乳で赤ちゃんを育てたい」と回答しています。
実際には、出産から1ヵ月後に「完全母乳育児」をしている方の割合は約50%、「混合育児」もしくは「完全ミルク育児」で、ミルクを飲ませている方が約50%という結果になっています。

母乳育児に関する考え

(回答者:0〜2歳児の保護者)

出典:平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000134208.html)を加工して作成

授乳期の栄養方法(1ヵ月、3ヵ月)の推移

(回答者:0〜2歳児の保護者)

出典:平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000134208.html)を加工して作成

母乳とミルク、違いはあるの?

母乳とミルクはどのような点が異なるのか、チェックしてみましょう。

Point① どっちが栄養価が高いの?

母乳とミルク、どちらにも赤ちゃんの成長に必要な乳糖、脂質、オリゴ糖、たんぱく質などが含まれています。成分が全く同じというわけではありませんが、栄養価に大きな違いはありません。

Point② 成分に違いはあるの?

母乳は、赤ちゃんの成長とともに成分割合が微妙に変化します。一方、ミルクの成分割合は一定で、母乳には少ないビタミンKやビタミンDが多く含まれています。国内企業のミルクであれば、栄養が母乳に近づくよう国のガイドラインを基準に製造しているため 、どれを選んでも成分に大きな違いはないでしょう。

Point③ 母乳を飲ませないと免疫力が低くなるの?

母乳には「ラクトフェリン」という免疫力を高める働きがあるたんぱく質が含まれており、古くから「母乳を飲んだ赤ちゃんは免疫力が高い」といわれてきました。しかし、現在販売されているミルクには、母乳とほとんど変わらない成分が配合されています。また、赤ちゃんにはお母さんのおなかの中にいるときにもらった免疫成分があるため、「完全ミルク育児」だからといって極端に免疫力が低くなるわけではありません。

Point④ 母乳にはアレルギー予防に効果があるって本当?

厚生労働省が発行している『授乳・離乳支援ガイド』において、以前は「母乳は乳幼児期のアレルギー予防に一定の効果がある」という研究結果を紹介していました。しかし、2019年の改訂版では、「母乳にアレルギーの予防効果を示す確定的な根拠はない」と明記されています。

授乳方法もライフスタイルに合わせて

母乳にもミルクにもそれぞれの良さがあり、「これでなければダメ!」という決まりはありません。大切なのは、赤ちゃんだけでなく家族みんなが心身ともに元気に、笑顔で過ごせる環境づくりです。お母さんひとりで頑張るのではなく、パートナーと一緒に自分たちに合った無理のない授乳や育児のスタイルを見つけてください。

「母乳バンク」を知っていますか?

「母乳バンク」とは、母乳がよく出ている方から「ドナーミルク」として母乳を提供してもらい、殺菌し、病原菌・有害物質の厳正なチェックを行った上で母乳を必要とする方に送る仕組みです。
母乳を必要とする早産の赤ちゃんや、出生時体重1,500g未満の赤ちゃんがお母さんから母乳をもらうことができない場合に、医療機関からの要請に応じて提供されます。

授乳期は「乳腺炎」にも気をつけて!

産後の授乳期におこる「乳腺炎」とは、赤ちゃんが母乳を上手に吸うことができなかったり、母乳が出すぎたりする場合に、母乳が詰まって乳腺に炎症が起こる病気です。軽い症状も含めると約25%のお母さんがかかるといわれています。
母乳に血や膿が混じったり、炎症部位の強い痛みや発熱などの症状があらわれます。特に授乳を始めたばかりの頃は、赤ちゃんの哺乳量が少なく、授乳のリズムも不規則であるため、炎症を起こしやすくなります。

乳腺炎を予防するためには、以下のような点に気を付けましょう。

  • 母乳をためないようにする
  • 乳腺が詰まりやすくなる甘いものや脂肪分の食べすぎに注意
  • カラダを冷やす食べ物や飲み物、カフェイン、刺激物なども控えめに
  • 乳頭を清潔に保ち、傷ができたときは消毒綿でやさしく拭く

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